“苦手分野はないのに,点数が下がっていく” — 中高一貫校の中 2 が半年で流れを変えるまで

こんにちは!巣鴨の数学塾 “林数学教室” 塾長の林です.

“特別に苦手な分野があるわけではない.でも,定期試験の点数が少しずつ下がっている.” 中高一貫校に通う中学生の保護者の方から,このようなご相談をいただくことがあります.私 (塾長 林) は,こうした状況を “小さな理解不足が積み重なっている状態” と捉えています.

今回は,中学 1 年生の終わりに入塾し,現在中学 2 年生のある生徒の約半年間を振り返ります.入塾時点では代数・幾何ともに点数が下降気味でしたが,半年後の期末試験では代数で 90 点台,他の科目と比べても高い順位という結果になりました.何をしたのか,順にご紹介します.

入塾時:どこかをスキップせず,一通り復習する

初回の授業では,これまでの定期試験の答案や学校の教材を持ってきてもらい,一緒に眺めながら今後の学習内容を話し合いました.あからさまに苦手な分野はない.にもかかわらず点数が下がってきているのは,過去の内容に少しずつ理解不足の箇所があり,それがのちの学習で悪さをしているのだと私は判断しました.

そこで決めた方針は,”1 年で学習した単元を,どこかをスキップせずに一通り復習する” ことです.ただし,学校で使っている体系的な問題集の練習問題を全部やり直すのはさすがにしんどいので,

  • まず,各単元の演習問題に手前から順に取り組む
  • 不正解が多い単元については,練習問題に戻って考える

という流れにしました.目標は “ゴールデンウィークまでに 1 年の範囲を一通り終える” こと.授業では,演習問題を 1 ページ解き終わるごとに私がノートをチェックし,その場でアドバイスをしていきました.

“答えを写して先に進む” をやめる

復習を始めて 2 週間ほど経ったころ,ノートにこんな箇所を見つけました.バツがつけられていて,正解が赤字で書かれている.ところが,自分の考えのどこがおかしかったのかについては,ほとんど注意が払われていないように見えました.正直に言うと,私も答案の意味を理解できませんでした.

本人に確認すると,一見難しそうな問題で途中で思考が止まり,とりあえず答えを写して先に進んだ,とのことでした.そこで,その問題を一緒に解き直しました.うまい解法が思いつかなくても,地道に計算すれば 1 次方程式を解くだけで正解に至る問題でした.そもそも,うまい解法が存在する保証はどこにもありません.

この時期に,もうひとつ大切なことを伝えました.”問題を解いたら,自分の結果がおかしなものになっていないか確認する” ことです.たとえば,のりしろをつけて紙を貼り合わせていく問題.紙 1 枚だけなら長さは紙 1 枚分のはずなのに,自分の式に n = 1 を入れるとそうならない.そこで式が間違っていると気づけます.実際に紙を貼り合わせるさまを想像するのが大切です.

この生徒は,ご家庭でも “わからない問題はわかるまで聞く” というスタイルが定着してきたそうです.授業外で行き詰まったときも質問できるようにしているのですが,私からすると,質問をもらえると “今日も勉強を進めてくれているんだな” と安心できます.質問は迷惑ではありません.むしろ歓迎です.

ミニテストで “できないこと” に気づく

復習が 1 次不等式の単元に入ったとき,計算ミスや解けない問題が目に見えて増えました.1 次方程式より 1 次不等式の方が難しいのは当然で,この傾向自体は自然なものです.しかし,1 次不等式は今後の数学で大量に登場します.

そこで私は,翌週にミニテストを実施することにしました.学校の定期試験のように 50 分間,時間をはかって行います.出題範囲は事前に伝えますが,問題集から抜粋するか別の書籍から抜粋するかは伏せておきます.結果は,大崩れはしていないものの,序盤のシンプルな計算問題でケアレスミスが複数ありました.

この生徒にとって,ミニテストは “できないことに気づく機会” になりました.ご家庭からも “この機会に,できないということに気づけてよかった” とお言葉をいただきました.出来のよくない分野があること自体は問題ではありません.それに気づく機会があったことをラッキーだと思い,改善していけばよいだけです.

以降,1 次不等式の文章題,比例・反比例,1 次関数,2 次方程式,関数 y = ax² と,単元ごとにミニテストを重ねていきました.

“ケアレスミス” という言葉で片付けない

ミニテストで繰り返し見えてきたのは,”解けたはずなのに不正解” というパターンでした.本人は “ケアレスミスがほとんど” と言います.しかし私は,”ケアレスミス” という言葉で片付ける限り,それはいつまで経っても減らないと考えています.

正確に計算する能力が備わっていないと,今後の数学で大きな問題を最後まで考えられなくなり,成績不振になったり数学が楽しくなくなったりします.そこで,具体的にやれることを伝えました.

  • ミスをしないように計算する:文字を大きく書く.1 行での式変形は 1 ステップだけにする.
  • ミスをしても,見直しで見つけられるようにする:解の大雑把な大きさや符号,不等号の向きだけでもチェックする.
  • 等号をつけるか迷ったら:実際に等号が成り立つ場合を考え,それが問題文の条件をみたすか調べる.
  • “つねに成り立つ” かどうかは,反例を探す:a < b < 0 のもとで成り立たない不等式を見抜くには,(a, b) = (−2, −1) のようなダメな例を一つ挙げれば十分です.

幸い,この生徒は途中過程を記述する習慣がついているので,ミスの箇所を特定しやすい.どこでミスをしているのか判明したら,今度はそれを減らす努力をする.いま足りない力があっても,これから身につけていけばいいのです.

ノートは広く使う,図は大きく描く

ある時期から,宿題のノートにたくさん図を描いてくれるようになりました.座標平面が関係する問題では,図を描いた方が結局ラクに解けることが多いですし,答案も文章だけでネチネチ記述するより図に語らせた方が手っ取り早いケースは少なくありません.

ノートの使い方についても,折に触れて伝えています.スペースに余裕をもってノートを書くと,

  • 文字が混雑しないので,誤読しづらくなる
  • 推論にあたり,あとから記述を挿入しやすくなる
  • ミスをした際に,赤入れをしやすくなる
  • 先生が補足説明をした際に,それを加筆しやすくなる

といったご利益があります.私は高校時代,30 枚綴りのノートを 1〜2 日で使い切ることも多々ありました.予備のノートがあると “ページを節約しよう” という考えに至らなくなるので,たいへん助かります.

定期試験:下降の流れを打破する

ゴールデンウィーク前後に 1 年の総復習を終え,中間試験前は試験範囲の学習に切り替えました.学校の対策プリントの質問にも答えました.たとえば (1 − 1/2²)(1 − 1/3²) … (1 − 1/99²) を計算する問題.プリントには “因数分解する” というヒントが書かれていました.まずはそのヒント通りに実際に分解してみると,(3/2)(1/2) × (4/3)(2/3) × … × (100/99)(98/99) となり,並べ替えるとキレイに約分できます.ヒントは,まず素直に使ってみる.

結果,中間試験の代数は 80 点台.平均点 (70 点台半ば) を超える成績でした.前年度は少しずつ下降していた流れを,ここで打破できたことになります.

中間試験後は,本人の希望を聞きながら学習内容を組み立てました.”幾何の授業は一発で理解できるが,代数は自宅で復習してやっと理解できることが多い” とのことだったので,教室では代数の先取りを行い,期末試験前は幾何の証明問題に集中しました.証明問題の正誤を自分でジャッジするのは容易ではないので,この期間の証明の答案は私がすべて添削しました.

添削で見つかった誤解もありました.たとえば,”三角形の角の二等分線は,対辺の中点を通る” という思い込み.これは通るとは限りません.のちに大きな影響がある誤解なので,該当する 3 問を書き直してもらいました.また,答案の冒頭に “〜の定理の逆より” と書いてしまい,後続の式がすべてそこから従うように読めてしまう,という記述上の問題もありました.証明では,書かれている式が正しいだけでなく,修飾関係が適切でなければならないのです.

そして期末試験.代数は 90 点台で,他の科目と比べても高い順位.幾何も平均点を上回りました.ご家庭からは,”試験前によく理解できていない箇所を諦めて放置せず質問するようになり,答案を見たら字も解き方も以前より丁寧になっていた” というお言葉をいただきました.最近は,証明問題への苦手意識も薄れてきたそうです.

正直に書くと,うまくいかない試験もある

ここまで順調な話ばかり書きましたが,夏休み明けの学校の復習テストでは,平均点を下回る結果になりました.直しのプリントを見ると,もったいないミスがかなり多かった.理解ができていなかったわけではなく,落ち着いて問題文を読むこと,検算をすることが抜けていたのです.これは私にとっても反省点で,引き続き “ミスの防ぎ方” を伝えていくつもりです.

一方で,別の変化もありました.夏に実施した関数のミニテストで,この生徒は返却前に自分の点数をほぼ言い当てたそうです.以前は自分の出来を客観的に把握するのが苦手で,”全部解けた,満点かも” と言って実際はそうでもない,ということがあったと伺っていました.自分の答案をどれくらい信じてよいか,自分でわかるようになる.これは点数そのものと同じくらい大切な成長だと私は思っています.

これから:定期試験対策と,その先へ

現在は,2 次関数の復習をしながら,秋に控える中学生向けの数学コンテスト (日本ジュニア数学オリンピック,JJMO) の予選に向けて “場合の数” の学習に入るところです.知識のインプットは読み物系の参考書で行い,学校の問題集で演習し,そのうえで高校範囲の問題集でレベルを引き上げる,という 3 段階で進める予定です.コンテストでは “徹底的に試行錯誤を続ける力” が問われます.わからない問題があっても 30〜60 分くらいは粘り,解説を読むのはなるべく後回しにする.そう伝えています.

同時に,学校の中間試験前には幾何のミニテストも実施します.定期試験対策と,その先の挑戦.どちらか一方ではなく,両方を無理なく続けられるように設計するのが私の仕事です.

体験授業・面談のご案内

林数学教室では,中高一貫校に通う中学生の指導も行っています.”苦手分野はないのに,点数が少しずつ下がっている” “定期試験対策と先取りを両立したい” “証明問題の答案を誰かに見てほしい” — そんなお悩みをお持ちの方は,ぜひ一度ご相談ください.

体験授業・面談は随時受け付けております.お気軽にお問い合わせください.

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