期末 50 点台から半年で 80 点台へ — “解答を写すだけ” から抜け出した公立中学生の記録

こんにちは!巣鴨の数学塾 “林数学教室” 塾長の林です.

私 (塾長 林) は,”数学が苦手” という生徒の多くは,能力が足りないのではなく,過去のどこかに小さな “穴” が空いたまま先に進んでしまっているのだと考えています.穴を見つけてふさぎ,手を動かす習慣をつければ,数学はちゃんと “分かる” ようになります.

今回は,公立中学校に通う,中学 1 年生の終わりに入塾した生徒の約半年間を振り返ります.入塾時,直前の期末試験は 50 点台.解けない問題があると解答を丸写しして “分かった” で終わる,というパターンが染み付いていました.その生徒が半年後にどうなったか,順にご紹介します.

入塾直後:1 年の範囲を総ざらいして,”穴” を見つける

入塾直後は,春休みも使って集中的に授業を行い,中学 1 年の範囲を標準的な問題集で一通り復習しました.目的は,どこに穴があるかを把握することです.実際,初回からいろいろ見つかりました.

  • −(−4)² のように,マイナスと指数が同時に登場すると途端にミスが増える (小問 8 個中 6 個が不正解でした)
  • 0.3³ を 2.7 と答えてしまう.0.3 は 0 と 1 の間の数なので,かけるたびに小さくなる.1 より大きい 2.7 はおかしい,と気づけるようになりたい
  • 割合,特に食塩水の問題がだいぶ苦手
  • 作図や立体図形も苦手

割合については,”今後,勉強でも実生活でも,割合が理解できないといろいろ大変” と伝え,後日,抜き打ちの小テストも行いました.作図については,”ほしい図形をまずスケッチし,その図形が満たしている性質を列挙して,そこから手順を逆算する” という考え方を伝えました.方程式のように上から順に計算すればよいレシピが作図にはないので,”そもそもどういう図形を作りたいんだっけ?” と考えるわけです.立体の頂点や辺の個数を数える問題では,複雑な図を描いて数えるより “切り落として減った分・増えた分を考える” 方がミスが少ない,という話もしました.立方体の切断では,メラミンスポンジを私が実際にカッターで切って断面を見せました.

春休みに,1 年の総仕上げテストを時間をはかって解いてもらいました.結果は 50 点程度.解き忘れた問題や,勝手に分母を消してしまった計算がありました.”それがなかったらもっと取れた” と本人は言いましたが,私はこう伝えました.まず,半分程度の正解率であったことを認めるところから始めてほしい.計算ミスの類は “次は気をつけよう” という程度の気持ちだとなかなか減らない.自分の弱点と向き合うのは気乗りしないものですが,これを経てこそ弱点の克服や成長があります.

“解けなくてもいい.でも,解説は 100% 理解する”

この生徒には,最初から素晴らしい点がありました.時間があるときは,宿題の範囲を超えて自主的に問題集を進めてくるのです.一方で,解けない問題があるとすぐ解答を見て丸写しし,”分かった” と言ってしまう癖もありました.そこで,ルールを 2 つ伝えました.

  • 解けない問題があっても OK.ただし,解説は 100% 理解する
  • 解説で理解できない箇所や “こんなの思いつかないよ” という箇所があったら,すぐ質問する

数学は他科目以上に “積み重ね” の性質が強い教科です.解説で理解できない箇所があるのに先に進んでしまうと,のちに必ず悪い影響が出ます.授業外でも質問できるようにし,質問は迷惑ではなく歓迎だと繰り返し伝えました.

入塾から 1 ヶ月ほど経ったころ,ご家庭からこんなお言葉をいただきました.比例・反比例のグラフの問題について,”以前なら難しいとすぐ諦めてしまうところ,手を動かしながら考えていたら解けた” と話していた,と.本人は “関数,得意かもしれない” と言っていたそうです.一見しんどそうでも手を動かせば案外あっさり解ける,ということは数学では本当によくあります.定義や公式より大切なのは,図や表に整理したり具体値を代入したり,とにかく手と頭を動かすことです.

新学年からは中学 2 年の予習に入りました.以前は習っていない単元には手をつけようとしなかったそうですが,不安を感じながらも自ら問題集に取り組むようになりました.予習を問題集だけで進めるのは心細いので,読み物系の参考書を 1 冊ご家庭にも置いていただき,行き詰まったときに読めるようにしました.

計算ミスは “傾向” ごと潰す

予習に入った直後,計算問題で同じ原因のミスが 2 つ続きました.文字式の除算を乗算に直す際,文字を分母に移動できていないのです.たとえば −(8/3)ab で割ることは,−8ab/3 で割ること.つまり a や b も分母にくるので,−3/(8ab) をかけることと同じです.解き直しのとき,本人は −(8/3)ab = −8ab/3 という書き換えを自主的に行えていました.

翌週の宿題では,計算ミスの類が大幅に減っていました.よくあるミスをひとつずつ潰していけば,計算の精度は確実に上がります.たくさん計算練習をしていれば,初めのうちはミスもたくさん生じます.それ自体に大きな罪はありません.ミスの傾向が見えてきたら,その対策をすればよいのです.

この生徒のノートは,字が読みやすく,途中過程をつぶさに書き,問題を解く際のポイントも別途書き込んである,たいへん丁寧なものです.同学年の頃の私はここまで丁寧に書けていなかったので,素直に素晴らしいと思います.一方で,見開きの右下まで使ったあと,次の問題を機械的にその続きから始めてしまうことがあったので,”すぐページを切り替えることになり,転記ミス・計算ミスのもとになるので控えましょう” と伝えました.

ほかにも,こんなことを伝えています.

  • y = ax で a が負のとき,x が 2 倍,3 倍になれば y も 2 倍,3 倍になる.a の符号は関係ない.混乱したら x と y の表を作る
  • 球の表面積 4πr² と体積 4πr³/3 で r の指数を迷ったら,面積は 2 次元的なものだから 2 乗,体積は 3 次元的なものだから 3 乗,と考える
  • 符号ミスが多いなら,”自分がよくやらかすミスをまとめたメモ” を作って机に貼る (私が中学生の頃にやっていたことです)

数字に現れた変化

新学年になってすぐ学校で行われた 1 年の振り返りテストは 80 点台半ば.平均点は 40 点台でした.学校で受けた数学のテストで過去最高だったそうです.入塾直後に集中して行った総復習が,そのまま生きた形です.

ゴールデンウィーク明けのテストでは平均点を大きく上回りました.そして得点に換算されない最後のチャレンジ問題に,この生徒は挑戦していました.100 点を取った同級生も “分からないから解かなかった” と言っていたそうです.ご家庭からは “林数学教室に通っていなければ,おそらく問題を読みもしなかった” とのお言葉をいただきました.

中間試験は 80 点台.平均点は 30 点台とのことでした.入塾直前の期末が 50 点台だったことを思うと,大きな変化です.さらにこの試験では,5 教科の合計が過去最高で,学年でも上位.数学以外の科目でも学年トップクラスの科目がありました.ご家庭は “学習の仕方を学ぶことで,数学以外の教科への取り組み方も変化して,ギアが一段上がった” とおっしゃっていました.数学は私が指導しましたが,ほかの科目は本人の自習です.勉強のやり方そのものが変わったのだと思います.

夏には数学の検定試験にも,余裕をもって合格しました.学校の “式の証明” の小テストは満点だったそうです.

証明は “その根拠は何?” と自分に問う

初夏から証明の学習に入りました.ここからは,結果の数値以外の部分が問われます.証明問題に取り組んでいる間は,ノートのコピーをとって私が普段以上に丁寧に赤入れをし,本人には “その根拠は何?” と自分に徹底的に質問することを求めました.添削で指摘したことをいくつか挙げます.

  • “°” を省略しない:高校数学で “°” を使わない角度の表記が別途登場するので,省略の癖は実害が出ます
  • “なので” の使い方:書かれている式ひとつひとつが正しくても,推論の流れを正しく表現できていなければ証明としては誤りになりうる
  • 等号の連鎖:DC = DE と DC = AB から DE = AB をいうとき,DC = DE = AB と書くと “第二の等号の根拠は?” と読み手が思う.DE = DC = AB,ゆえに DE = AB,と書く方が明快
  • 合同から直接は従わないこと:△ABD ≡ △CDB を示しただけでは AE = CF は (直接は) 出てこない.△ABE ≡ △CDF を示せば紛れなく言える

一度不正解だった問題も,めげずに証明を作り直してきてくれました.中学 2 年の問題集を終えるころには,”完璧といってよい” と私が書いた答案もありました.

正直に書くと:”分かる” と “できる” の距離

順調な話だけではありません.中学 2 年の総仕上げテストは 80 点でしたが,制限時間内に解ききれず,焦って問題文を読み間違えた箇所がありました.中学 3 年の因数分解に入ると,”公式を覚えてそれを当てはめる” という新しいタイプの計算にかなり苦戦しました.問題数の多い計算問題集を別途ご用意いただき,毎日少しずつ取り組んでもらっています.

夏休み明けの期末試験は 60 点台でした.問題が難化して平均点も下がったとのことですが,ご家庭のお言葉を借りれば,”だいぶ ‘分かる’ ようにはなってきたものの,’できる’ ‘解ける’ まではまだ遠い”.私も同じ見立てです.定期試験の中盤くらいまでの平凡な問題はきっちり正解できるようになっています.その先,学年の最上位や高校受験でよい結果を残すには,ハードな問題に挑戦する経験がこれから必要です.いまの問題集を終えたら,高校入試向けのもう少し高難度な教材に進む予定です.

ひとつ,うれしい場面がありました.ある日の授業で,問題集の区切り (私が指示した箇所) まで終えたあと,本人が自主的に計算問題集の方に移っていたのです.自分にいま必要な練習を自分で判断した,賢明な選択でした.正直,驚きました.

ご家庭との連携

この生徒のご家庭は,毎回の指導報告書を読んで,本人に伝えるべきことを伝え,ご自宅ではホワイトボードを使って本人に解法を説明してもらう機会を設けてくださっています.” º ” (〜度,を表す記号) の書き忘れも,報告書を読んだ翌日にご家庭で気づいてくださいました.また,外部の模試も受け始めました.ひとりで試験問題と向き合って迅速かつ正確に解くには “試験慣れ” が必要で,中学生なら 2〜3 ヶ月に一度くらいがちょうどよいと私は考えています.

体験授業・面談のご案内

林数学教室では,公立中学校に通う中学生の指導も行っています.”数学に苦手意識がある” “解けない問題は解答を写すだけになっている” “定期試験の点数が伸び悩んでいる” — そんなお悩みをお持ちの方は,ぜひ一度ご相談ください.穴を見つけてふさぐところから,一緒に始めましょう.

体験授業・面談は随時受け付けております.お気軽にお問い合わせください.

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