中 2 の冬に入塾,中 3 の期末で 100 点 — “数え上げ” と “理屈を理解する予習” の 9 ヶ月

こんにちは!巣鴨の数学塾 “林数学教室” 塾長の林です.

私 (塾長 林) は,”どこまで先取りしたか” より “各単元をどれだけ理解したか” を大切にしています.学習進度を重視してどんどん先に進む塾もありますが,生徒一人ひとりの “進度” は,各単元を理解することによってのみ前進すると考えているからです.

今回は,中高一貫校に通う,中学 2 年生の冬に入塾したある生徒の約 9 ヶ月間を振り返ります.入塾時は学校の授業に沿った復習から始め,学年末試験後に高校数学の予習へ.中学 3 年生の 1 学期の期末試験では,数学 I に相当する科目でほぼ満点を取りました.何をどう進めたのか,順にご紹介します.

入塾時:先取りより,学校の授業に沿って

初回の授業で,本人と今後の方針を話し合いました.希望は “先取りよりは,学校の授業に沿った内容を扱いたい.どちらかというと代数” というものでした.そこで,学校で使っている問題集を用いて,代数では “確率と標本調査”,幾何では “三平方の定理” の演習を進めることにしました.場合の数について尋ねると,”P とか C とか,見たことはあるが全然覚えていない” とのことでした.

場合の数・確率の分野で,私が繰り返し伝えたのは次のことです.

  • できるなら,複数の解法で解く:理屈上は単一の解法で問題ないのですが,私たちはどうしてもミスをする生き物です.複数の方法で同じ結果が得られれば,安心して次の問題に進めます
  • 設定が複雑なら,表を描く:2 個のさいころの出目は 6 × 6 = 36 通りしかないので,全てを調べ尽くせば大抵の問題は正解できます.そもそも,スマートな解き方が存在するとは限りません
  • 書き出すことを面倒がらない:ある日,”a, b の組 36 通りを全て書き出したが大丈夫か” という質問がありました.それで全く問題ありません.場合の数・確率の基本は “書き出すこと” です

三平方の定理に入ると,図形問題の幅広さと難度が突然増します.垂線を下ろして直角三角形を作りさえすれば解ける問題が多いため,いわば “無法地帯” に近くなり,初見かつ難度の高い問題ばかりになるのです.こうなると,”解説を読めば理解できる” と “自力で解ける” のギャップが大きくなります.だからこそ,なるべく解説を読まないで粘ることが要になる.行き詰まっても 10 分程度は考え続ける習慣をつけましょう,と伝えました.一方で,この分野の難問はとことん難しいので深追いはしなくてよい.問題集の中程度の難度までは確実に解ける状態で学年末試験を迎える,という目標も共有しました.一周目で不正解だった問題は,試験前に解き直しました.

学年末試験後,ご家庭から “これまで以上に計画的な学習ができ,よいペースメーカーになっている” “‘場合の数で解き筋が見えないときは数え上げ’ という実践的なアドバイスを深く納得して持ち帰っており,問題に対する姿勢に変化が見られる” とのお言葉をいただきました.

私は,数学で何より大事なのは “実験すること” “調べ尽くすこと” “いま持っている知識でねじ伏せること” だと思っています.知識で穴を埋めだすと,”こんな問題もあるんだ,覚えておかなきゃ” “この解法,知らなかった,覚えておかなきゃ” というふうに穴ばかりに目がいく,ひたすらしんどい勉強になってしまうからです.

学年末試験後:高校数学の予習へ

学年末試験が終わると,新学期からの内容,つまり高校数学 (数学 I・A) の予習に入りました.高校数学の網羅系参考書を使い,展開・因数分解から順に進めています.この時期に伝えたことをいくつか挙げます.

  • 展開の検算は,値を代入する:(x+2)(x−2)(x²+4) = x⁴ + 16 と計算したとしましょう.x = 0 を代入すると左辺は 2 × (−2) × 4 = −16,右辺は 16 で食い違う.任意の値で等号が成り立たなければならないので,これは不正解だとわかります (正しくは x⁴ − 16)
  • 因数分解は “もっと分解できないか?” と自分に問う:abc + ab + bc + ca + a + b + c + 1 を (a+1)(bc+b+c+1) で止めていましたが,最終形は (a+1)(b+1)(c+1) です.この式で a, b, c は対等なので,(a+1) でくくれたなら (b+1) や (c+1) でもくくれるはず,という洞察ができると最後まで分解しやすくなります
  • 正しく解けていれば,どんな解法でも構わない:x − 1/x = √2 のときの x² − 1/x² の値を求める問題.因数分解を使う解法は思いつきづらいかもしれませんが,困ったら x − 1/x = √2 を x > 0 のもとで解いて x = (√2 + √6)/2 を得て,無理やり代入して計算してしまえばよいのです
  • “集合と命題” は高校数学全体の基礎:必要条件,十分条件,逆,裏,対偶……用語は多いですが,一通り定義を頭に入れる.√5 が無理数であることの証明では,素因数 5 の個数の偶奇に注目する少し面白い証明も紹介しました

春休みが終わったころ,ご家庭からこんなお言葉をいただきました.”これまで予習にはやや消極的だったが,初めて学校の範囲を越えて自学で取り組めたことが,本人にとってよい成功体験になった” “以前に計算だけ先取りしていた 2 次関数の ‘理屈’ を理解できたことが,とても新鮮だったと言っている”.

理屈を理解することで,誤った使い方を回避でき,同じ考え方を他の問題にも応用できる.手を動かすことで,あっさり解けてしまう問題もあるし,よくわからない題材でも法則が見えてくる.これらを体感することが,数学の力を伸ばすうえでたいへん重要です.

2 次関数:山場で身につけた検算のコツ

2 次関数の最大値・最小値問題 (関数や区間に文字定数を含むもの) は,中高一貫校の中学 3 年生にとって山場で,ここで躓く生徒がたくさんいます.ノートを見る限り,この生徒はたいへんよく理解していました.そこで,一段上の “検算のコツ” を伝えました.

  • 場合分けをしたら “連続性” を確認する:最小値が a > 2 のとき −2a + 3,0 ≤ a ≤ 2 のとき −(a−1)²,a < 0 のとき 2a − 1 となったなら,a = 2 と a = 0 で隣り合う式の値が一致するか調べる.いまの場合,どちらの境目でも −1 で一致します.この手の問題は計算ミスが起きやすいので,この確認で安定して得点できます
  • 文字を消去しても,その文字はどうでもよくならない:x ≥ 0,y ≥ 0,2x + y = 8 のもとで xy の最大・最小を求めるとき,y を消去して x だけの関数にしますが,”対応する y が y ≥ 0 をみたす” という条件を x に反映し,0 ≤ x ≤ 4 で考えなければなりません.x² + 2y² = 1 のもとで (1/2)x + y² を考える問題も同様で,実数 y が存在するためには −1 ≤ x ≤ 1 が必要です
  • 問われていないことは書かなくてよい:最大値を求める問題で,最大値をとる x の値を書き添えていなかったことを理由に自分で不正解にしていましたが,バッチリ正解です.”そのときの x の値も求めよ” とない限り,最大点は書かなくて問題ありません.問われていないからです
  • 2 次不等式は判別式で “型” を見る:3x² + 20x − 7 > 0 は判別式が正なので因数分解などが必要.x² − 4x + 5 > 0 は判別式が負なので平方完成ですぐ解ける

中間試験では,教室で主に学習した 2 次関数を含む数学 I 相当の科目で 90 点台半ば (平均は 60 点台後半).本人いわく “これまでの定期試験の中でも一番いいと思う” とのことでした.総合成績も学年上位だったそうです.

ミニテストは “自己評価” の練習

分野が一段落するたびに,別の問題集から抜粋したミニテストを実施しています.この生徒の場合,面白い傾向がありました.手応えを尋ねると “55 点くらいかな……” と答え,結果は 68 点.場合の数では “40 点くらいかな……” で,結果は 60 点.いつも自己評価より結果の方が上なのです.字も記述も丁寧で,日々の努力が表れた答案でした.

もちろん,反省点も出ます.確率のミニテストでは,6³ = 216 通りが同様に確からしいのだから分母は 216 のはずなのに,約分しても 50 にはなりえない分母を書いていた,という基礎の抜けが見つかりました.場合の数は “漏れはないか?重複はないか?” とつねに自分に問う分野です.

図形と計量では,私がかなり難しめに作ってしまったこともあり,点数は振るいませんでした.そこで “点数は気にしなくて OK” と伝えたうえで 2 周目に入り,”絶対に解けるし退屈な問題は skip,ちょっと自信がない問題は取り組む” という方針で復習してから,難度を下げた再テストを実施しました.結果は,解いた分はほぼ全て正解.sin θ = 1/2 の解のうち 150° を忘れるといった惜しいミスはありましたが,分野の理解度に問題はないと判断しました.

ご家庭からは “宿題と違って,解き筋からどこで間違えたかを指摘してもらえたことで,本人も大変勉強になったと言っている” とのお言葉をいただきました.

期末試験:なんと満点!

期末試験.数学 I に相当する科目で,この生徒は満点 (100 点) を獲得しました.教室で実に真面目に勉強してくれている,その努力の成果です.数学 A に相当する科目も,”全く歯が立たないというわけではなかった” とのことで,平均点より上でした.ご家庭からは “本人にとって大きな自信につながった” とのお言葉をいただきました.

この生徒は,解ける問題もあれば解けない問題もあるわけですが,気落ちせずいつも前向きに勉強してくれています.ノートの取り方も丁寧で,”ラクに済ませよう” “少しでも手短に終わらせよう” という気持ちを排除している.私自身,尊敬しているところです.

これから:整数の世界へ

2 学期は,学校の進度に合わせて “数学と人間の活動” (整数) に進みました.たとえば m² = n² + p² (p は素数) をみたす正の整数の組を調べる問題.(m + n)(m − n) = p² と “積の形にする” のが常套手段で,p が素数であることから (m + n, m − n) = (p², 1) に限られます.1 以上 p^k 以下の自然数のうち p^k と互いに素なものの個数は,p の倍数を数えるだけで p^k − p^(k−1) 個とわかります.次は合同式です.

体験授業・面談のご案内

林数学教室では,中高一貫校に通う中学生の高校数学の予習も指導しています.”学校のペースに合わせつつ,理解を優先して先に進みたい” “ミニテストで実力を客観的に測りたい” “解き筋のどこで間違えたかを見てほしい” — そんなご希望をお持ちの方は,ぜひ一度ご相談ください.

体験授業・面談は随時受け付けております.お気軽にお問い合わせください.

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