“数学が苦手” な文系の既卒生が,夏の冠模試で B 判定を取るまで — 苦手分野を一つずつ潰した 5 ヶ月

こんにちは!巣鴨の数学塾 “林数学教室” 塾長の林です.

私 (塾長 林) は,予備校に通う既卒生も指導しています.予備校の授業は全範囲をまんべんなく進めるので,“特定の分野だけ極端に苦手” という生徒にとっては,そこを集中的に補強する場が別に必要になることがあります.

今回は,難関国立大学の文系を志望する,ある既卒生の約 5 ヶ月間を振り返ります.入塾時,数学には強い苦手意識がありました.その生徒が,夏の冠模試 (志望大学の名前を冠した模試) で B 判定・C 判定を取るまでに何をしたのかをご紹介します.

入塾時:予備校の復習ではなく,“苦手分野ごと” に潰す

4 月の初回授業で,教室での学習を “苦手分野ごとの学習” にするか “予備校で扱った内容の復習・予習” にするか,本人に尋ねました.答えは前者でした.主な苦手分野は,図形と方程式,数列,ベクトルの 3 つ.5 月上旬に大手予備校の記述模試があるとのことだったので,4 月の 3 回の授業でベクトルの復習を行うことにしました.

教材は入門〜基礎レベルの問題集と計算問題集の 2 冊.平易な箇所は練習問題だけ解き進め,しんどい箇所は私が例題を解説してから演習する,という流れです.この時期に伝えたことをいくつか挙げます.

  • 正射影ベクトルの公式は,無理に暗記しなくてよい:見た目が複雑で何をやっているのかわかりづらい公式ですが,計算方法さえ理解していれば導けます.不安なら最も一般的な場合だけ覚える
  • 終点の存在範囲は,座標平面とのアナロジーで:OP = sOA + tOB (s + t = 1,s ≥ 0) と表せる点 P の範囲を図示したいなら,いったん座標平面で x + y = 1,x ≥ 0 の領域を描いてみる
  • 成分でおくか,大きさと角度でおくか:どちらが好ましいかは問題によります.一方を試してダメだったときに他方も試せるよう,“複数の手段がある” こと自体を覚えておく
  • 点の定義を分解する:“直線 AF と平面 OBC の共有点 G” なら,[1] G は直線 AF 上にある,[2] G は平面 OBC 上にある,に分ける.[1] は “ある実数 k が存在して AG = kAF (ベクトルの矢印省略)” と同じ

5 月:最初の手応え

記述模試のあと,本人からこんな連絡をもらいました.“以前に比べて,この問題はこうしたらいいという道筋が思い浮かびやすくなっており,若干ですが数学の伸びを感じることができました.完答しきれなかったところにまだ至らない部分が現れていると思いますが,それ以上に,前できなかったことが少しでもできるようになっていることが嬉しく,ご連絡差し上げました”.

実際,模試のベクトルの問題では 4 つの小問のうち 3 つまで正解できていました.宿題の答案も,体験授業のころよりだいぶ書けるようになっていました.数学は苦手科目かもしれない.でも,努力すれば少しずつ解ける問題が増えることを,この生徒は自分で実感したのです.一方で,最後の最後での小さな計算ミスもありました.共通テストなら,その箇所の得点は 0 になります.少しずつ減らしていこう,と伝えました.

5 月は数列に進みました.10 項ごとの塊で考える等比数列の問題は,文章と数式だけでは何をやっているのかわかりづらいので,図を使って解説しました.一般項を求めたら n = 1,2,3 あたりを代入して検算する習慣も求めました.値が一致しなければ計算ミスに気づけますし,2,3 個一致すれば正解している可能性はかなり高い.3 項間漸化式は “等差か等比に帰着したい” という気持ちで式変形を眺めると自然に理解できる,という話もしました.数列が一段落したとき,本人は “自分で想定していたよりもよくできた” と言っていました.

6 月:焦れったくても,“論理” を鍛える

次に何を扱うか話し合ったところ,“関数や図形あたりの論理に強くなりたい” とのことでした.そこで 6 月は,方程式・図形・関数を論理の側面から扱う分野別の問題集に絞りました.限られた分野の理解を深めるのは焦れったく感じるかもしれません.たくさんの分野を学びたくなるものです.しかし,難関大学の文系数学において論理周りの強化は極めて重要ですから,じっと堪える.そう伝えました.

この時期の細かな話をいくつか.等比数列の和を求める際,初項をかけ忘れるミスがありました.和の記号の手前に係数がついていたので,多くの人がやりがちなミスです (実のところ,私も 1〜2 分ほど気づけませんでした).解決策は,やはり具体値の代入です.一般項が出た段階で n に 1,2,3 を入れ,漸化式から得られる値と一致するか確かめる.ズレがあれば,最後の数行ではなくその手前にミスがあるとわかります.連立方程式の解の存在条件については,“y について解かれた式” を残しておけば,x の方程式の実数解さえあれば y は確実に得られる,という同値変形の考え方を補足しました.

6 月の模試 (記述模試と,志望大学の本番レベル模試) では,数学で目覚ましい得点をお届けすることはできませんでした.指導開始から 2 ヶ月弱.申し訳ない気持ちでした.しかし本人は “実力が伸びていて,共通テストレベルの問題はどんどん解けるようになってきている” と前向きでしたし,宿題を見ていても,少々複雑な議論をこなせるようになっていました.

試験の成績は,“幾らか勉強することでやっと小問 1 個解けるようになる” ものです.スロープではなく階段を登るイメージで,段を登る寸前で試験を迎えてしまうと,どうしても点がもらえない.でも,それは成長していないことを意味しません.この生徒は間違いなく成長している.そう伝えて,目先の勉強に打ち込んでもらいました.

7 月:計画を立て,進まない週も受け入れる

夏の冠模試までの学習計画を立て,毎回の指導報告書の末尾に “今後の学習予定” と “模試の受験予定” と “模試の目標 (本人談)” を載せるようにしました.夏の冠模試までに何を終えるか,9 月末までに何を,11 月末までに何を,その先は過去問演習.終わったものには印をつけていきます.

宿題が思うように進まなかった週もありました.特に病気というわけではないのに,どうにも作業が進まない.そういう時期は誰にでもあります.私自身,参考書の執筆がどうにも進まず,編集者を散々待たせてしまった時期があります.教室にいる間,この生徒は真剣に勉強に打ち込んでいました.進まなかった週は決して怠慢ではなく,コインを投げたら裏が出ることもある,という程度のこと.“おっ,なんか楽しいかも!” という経験が得られれば好転しだすので,その種まきの意味でも,無理のない範囲で続けよう,と伝えました.

夏:冠模試で C 判定と B 判定

8 月上旬,冠模試の 1 回目.昨年より得点は伸びていたものの,悔いの残る結果だったそうです.授業の最後に,その模試の第 2 問と第 3 問を私がその場で解き,アドバイスをしました.集合 A ∪ B の指す範囲を勘違いしていたこともわかりました.数学的な “または” は,双方をみたしていても OK です.

翌週の 2 回目.“平易な問題を正解しきること,検算をすること” を確認して送り出しました.本人の手応えは “20 点は取れたと思う”.確率でミスをした心残りもあったようです.

9 月に結果が出そろいました.本番レベル模試は C 判定,冠模試の 2 回目は B 判定.本人にとっても私にとっても,予想外によい成績でした.数学の得点も,入塾時からはっきり伸びています.本人は “数学は,このまま努力すれば得点が伸びる科目になった” と話していました.1 回目の冠模試の結果はあとから届き,ほかより見劣りするものでしたが,時系列的には最も古いものですから,成績は上向いていると捉えてよい.数学に関しては方針転換の必要はありません.

数学以外に “手を打たないといけない科目” もあるとのことだったので,模試の問題・答案・成績表を持って予備校の先生に早めに相談するよう伝えました.私も含め,先生たちはあなたの味方です.いつでも頼ってほしい,と.

これから:標準問題集 → 例題のない問題集 → 過去問

現在は標準レベルの問題集を,苦手だった分野から順に進めています.9 月末までにこれを終え,11 月末までに例題のない問題集を 1 冊やりきり,その後は共通テストと過去問の演習へ.秋の冠模試では A 判定を目指します.

体験授業・面談のご案内

林数学教室では,予備校に通う既卒生の指導も行っています.“数学に苦手意識がある” “特定の分野だけ極端に弱い” “予備校の授業とは別に,苦手分野を集中的に補強したい” — そんなご希望をお持ちの方は,ぜひ一度ご相談ください.学習方針の相談やお悩みの相談も歓迎します.

体験授業・面談は随時受け付けております.お気軽にお問い合わせください.

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